介護タクシーの駐車場(車庫)の要件
介護タクシーの許可を得るためには、いくつかの要件をクリアーしなければなりません。
その中でも重要なのが駐車場(車庫)の要件です。
介護タクシーに使用する車は、事業用自動車となるため、車両の点検や整備・清掃を行う必要があります。
さらに、単に自動車を停めるだけではなく、駐車場が事業用として使用できる土地・建物であるかの確認も行わなければなりません。
チェック1:駐車場は営業所と隣接してますか?
原則として、駐車場は営業所と隣接していなければなりません。
営業所があるビルの1階に駐車場があるとか、自宅(一戸建て)の敷地内に、営業所と駐車場を置く場合などは問題ありません。
営業所に隣接していない場合は、駐車場は営業所から直線で2km以内にあることが必要です。
正確には、営業所と駐車場を直線で結んだ距離が2km以内です。
直線の測り方は、インターネットの地図(yahoo地図やグーグルマップ)を利用して、地図上で直線距離にして2km以内であるかを確認できればOKです。
チェック2:駐車場のスペースは十分ですか?
営業所に配置する事業用自動車の全てを確実に収容できるスペースがあれば問題ありません(2023年11月より、車庫の要件が緩和)。
チェック3:駐車場を使用する権限はありますか?
申請者が駐車場とする土地を使用する権利があることを証明しなければなりません。
申請者本人が所有している土地を駐車場にするのであれば、その駐車場を使用する権限があるということです。
申請者本人の土地であるかは、土地の登記簿謄本を提出することで証明します。
申請者とは、介護タクシーの許可を申請する人のことです。
Aさん(個人)が申請するのであれば、Aさん名義の土地ということになります。
一方、駐車場を借りる場合は、駐車場の貸主と賃貸借契約を結ぶことになりますので、賃貸借契約書で駐車場を使用する権限があることを証明します。
この賃貸借契約も、自家用車を停める一般的な契約ではなく、事業用自動車を1年以上の契約期間で契約することが必要です。
もし契約期間が1年未満の場合は、契約書に「期間満了時には自動更新される」と読み取れる場合は問題ありません。
チェック4:駐車場は関係法令の規定に接触していませんか?
駐車場は単に駐車スペースがあれば良いというわけにはいきません。
その駐車場(土地)が、建築基準法、都市計画法、消防法、農地法などの関係法令の規定に接触しないことの確認が必要になります。
例えば、駐車場のある土地が農地であれば、駐車場としては認められません。
青空駐車場であれば建物がないので問題ありませんが、屋根やひさしがある駐車場は建物とみなされるため、建築物として適法なものであるかの確認作業が必要になります。
市街化調整区域では屋根がある車庫は原則NGです。
無駄なコストや手間を省きたいのであれば、青空駐車場を借りるほうが良いでしょう。
チェック5:駐車場には点検、清掃、調整が行える広さはありますか?
事業用自動車ですので、日常点検や清掃・調整ができる充分な広さが必要です。
また、点検ができる測定用器具等を備えておきましょう。
※近畿運輸局管内では、自動車を清掃するための「水道施設」が必要ですので、駐車場内に水道施設がなければ清掃できる場所を確保しなければなりません。
チェック6:前面道路の幅は十分な広さがありますか?
駐車場の前面道路の幅が狭いと事業用自動車を保管する場所として認められません。
車両制限令という法律で、通行できる車両の幅等の制限が決められているためです。制限を超える車両は、通行を禁止されています。
例えば、市街地区域内の通常の道路では、幅2mの自動車が通行するには、道路幅は5.5m以上必要とされています。おおよそ、車の幅の2倍以上あるかが目安になります。
前面道路とは駐車場を出てから最初に到達する「公道」のことです。
公道とは、国道や市道など、国や都道府県・市区町村が管理している道路をいいます。
一概に駐車場の前にある道路を指しているではありませんので、注意してください。
道路種類は、役所の道路管理課や土木事務所などで確認できます。役所によっては、ホームページに「認定路線図」を公開しているところもありますので、検索して調べてみましょう。
そして、実際の道路幅を確認するには、役所で「幅員証明」を発行してもらいます。
幅員証明は、市道であれば役所の道路管理課等、県道であれば土木管理事務所等で申請すると取得できます。
ただし、前面道路が国道であれば、幅員証明はいりません。
もし、駐車場を出てから最初に接する道路が「私道」だった場合は、さらに書類が必要です。まずその私道の所有者が誰かを調べて、所有者から車両が通行してもいいという承諾書を貰う必要が出てきます。