介護タクシー事業者として開業するには、営業所の予定地を管轄する運輸局長に対して申請を行い、『一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)』の許可を受けなければなりません。
許可を取得するには、法令等で定められている様々な要件をクリアする必要があります。また、時間もそれ相応にかかります。
許可要件の確認や必要書類の収集・作成などにかかる時間、運輸局での申請から許可までの審査期間等を考えると、許可が下りるまでに、最短でも約4ヶ月はかかると考えておくとよいでしょう。
当記事では、「介護タクシー開業までの流れ」について解説しています。どうぞご覧くださいませ。
①許可要件の確認・二種免許の取得
許可を取得するためにの要件は、いくつかの種類に分類することができます。
「人的」要件、「設備」要件、「資金」要件など、です。
これらの要件それぞれで、介護タクシーの許可要件を満たしているかどうか確認します。
運転者(ドライバー)については、普通免許ではなく、二種免許が必要です。
介護タクシーの許可取得を考えている方で、まだ二種免許を持っていない場合は、まずは自動車教習所で二種免許を取得する必要があります。
②必要書類の収集、申請書類の作成
許可申請に必要な書類を収集します。
例えば、営業所の見取り図や賃貸借契約書、道路の幅員証明、営業車両の売買契約書、任意保険の見積書等です。
また、運輸支局で許可申請書の様式を入手して、申請書類を作成します。
③介護タクシー許可申請書の提出
管轄の運輸支局へ出向いて、許可の申請書類を提出します。
※運輸支局によっては、許可申請書提出の際に運賃認可申請も同時に行います。
④法令試験の受験
申請者が法令試験を受験します。
- 個人で申請する場合はその個人が受験します。
- 会社が申請する場合は介護タクシー事業に専従する役員の一人が受験します。
近畿運輸局管内では、毎月末日までの申請者に対し、翌月10日頃に法令試験が行われます(月1回実施)。
※関東運輸局管内では法令試験は免除されています(令和6年現在)。
⑤管轄運輸局において審査
法令試験に合格すると審査行われます。不合格の場合は、翌月に再受験できますので、審査開始が1ヶ月遅れることになります。
審査期間は、概ね2ヶ月~2ヶ月半程かかります。補正や書類の確認などがあった場合は、その分遅くなります。
⑥許可証の交付
審査基準を満たせば許可書が交付されます。
⑦許可証の受領、登録免許税の納付
許可書交付式(講習会)に出席し、許可証及び認可証を受け取ります。
また、登録免許税納付書を渡されますので、登録免許税3万円を期限内に納付します。
※運輸支局によっては、許可証交付後(許可取得後)に運賃認可申請を行います。
⑧事業用自動車の登録等
管轄の運輸支局において、介護タクシー事業で使用する自動車の検査・登録を行い、事業用ナンバー(緑ナンバー)を取得します。
タクシーメーターを取り付ける場合は、計量検定所においてメーターの検査を受けます。
⑨開業準備・事業開始
許可証の交付を受けてから開業準備を行います。開業準備が整えば介護タクシー事業を開始することができます。
- 運転手は適正診断・健康診断の受診
- 事業用自動車の車内及び車外表示
- 運行管理者及び整備管理者の選任(車両が5両以上の場合のみ)
- 指導主任者の選任
- 営業所内に運送約款及び運送・料金表を掲示
- アルコールチェッカーや帳簿類の備え付け
- 社会保険、労働保険の加入
⑩運輸開始届の提出
介護タクシー事業を開始後、管轄の運輸支局へ運輸開始届を提出します。
許可日から6ヶ月以内に運輸開始届を提出しなければなりませんので、注意してください。