法人を設立して介護タクシーを始めるには?-合同会社編

法人を設立して介護タクシーを始めるには?

法人を設立して介護タクシーを始めるには?

介護タクシー事業は、個人事業で開業することが多いのですが、株式会社や合同会社、一般社団法人などの法人を設立して介護タクシー事業を行うこともできます。

株式会社の次に選択されることが多いのが、合同会社です。

合同会社は、一人から設立でき、設立後の運営も簡素化されています。
株式会社と比べて設立費用も安いため、法人格があればいいという人にお勧めの会社形態です。

それでは、合同会社を設立して介護タクシーの許可を受けるための流れを確認しましょう。

1.合同会社を設立する

1.合同会社を設立する

介護タクシーの許可を合同会社で申請しますので、まずは会社を設立することから始めます。

合同会社を設立する人を「社員」と呼びます。
社員が資本金を出資し、合同会社を設立します。

この「社員」とは、世間一般で言う「従業員」ではありません。
合同会社の社員は「株式会社の株主(=出資者)」に相当する立場の人のことです。

合同会社を設立するには、大きく分けて、下記のステップで進めていきます。

  1. 会社概要を決める
  2. 定款を作成する
  3. 資本金を払い込む
  4. 登記申請書類を作成する
  5. 法務局へ登記申請を行う

STEP1:会社概要を決める

まずは、合同会社の社員となる人が会社概要(会社の基本情報)を決めていきます。
社員とは、合同会社を設立するにあたって、出資をする人のことです。
合同会社では出資をしないと社員になれません。

合同会社では原則出資と経営を分けずに、社員全員で経営を行うことになります。
これが株式会社との最大の相違点です。

社員が会社の定款などを作成したり、設立するための手続きを行います。

合同会社は、1人でも設立できますので、1人の場合は「社員=代表社員」となります。
社員が複数いる場合は、社員の中から誰を代表社員(代表者)にするか決めます。

会社概要
  • 会社名(商号)
  • 場所(本店所在地)
  • 事業目的(事業内容)
  • 資本金
  • 代表社員
  • 事業年度(決算期)
  • 公告方法

介護タクシー事業を行うには、定款の事業目的に介護タクシー事業を行う事を記載しなければなりません。
介護タクシー事業の正式名称「一般乗用旅客自動車運送事業」を入れておくようにしましょう。

上記概要を決めたら、定款を作成していきます。
介護タクシー事業を行う会社の定款事業目的・記載例については、以下のページでわかりやすく解説しています。
合同会社で介護タクシーの開業をご検討中の方は、合わせてご参照下さい。

STEP2:定款を作成する

定款とは、STEP1で決めた会社の商号や事業目的、事業年度、社員など会社概要を記載したものです。

昔は定款を紙で作成していましたが、現在では電子定款で作成するのが主流です。
ただし、電子定款を作成するには電子証明書やICカードリーダライタを用意して、専用のソフトをダウンロードするなど、準備が大変です。
電子定款の作成を専門家である行政書士へ依頼すると良いでしょう。

また電子定款にすることで、収入印紙4万円がかからないというメリットがあります。
定款を紙で作成した場合は、定款に4万円分の収入印紙を貼付します。

STEP3:資本金を払い込む

定款を作成したら、次は資本金を払い込みます。

社員が合同会社へ出資する金額が、設立する合同会社の資本金となります。
社員が複数名いれば、それぞれの出資金の合計額が会社の資本金になるということです。

社員の代表者の銀行口座に、社員全員が各出資金を払い込みます。
全員の払い込みが終わったら、銀行口座の通帳のコピーを取ります。

この通帳のコピーをもとに払い込みがあったことを証明する「払込証明書」を作成します。

STEP4:登記申請書類を作成する

資本金の払い込みが終わったら、登記申請に必要な書類を作成します。
登記申請に必要な書類は、一人で設立する場合、複数名で設立する場合、現物出資がある場合など、設立する会社により様々ですので、事前に法務局へ確認しておきましょう。

主な申請書類・例
  • 登記申請書
  • 定款
  • 代表社員、本店所在地及び資本金決定書
  • 払込証明書
  • 代表社員の就任承諾書
  • 登記すべき事項
  • 印鑑届書
  • 代表社員の印鑑証明書

STEP5:法務局へ登記申請を行う

登記書類が書類が揃ったら、会社の本店所在地を管轄する法務局へ登記申請を行います。

法務局に登記申請をした日が合同会社の「設立日」です。
法務局は土日・祝日と年末年始が閉庁日であるため、平日しか登記申請を行うことができません。

登記を申請してから登記が完了するまで、1週間程度かかります。
法務局から完了の連絡はありませんので、事前にいつ完了するのか法務局の窓口で完了予定日を聞いておきましょう。

無事登記が完了しましたら、会社の履歴事項証明書(登記簿謄本)を取得しておきます。

2.法人名義の銀行口座を開設する

2.法人名義の銀行口座を開設する

合同会社設立後に法人名義の銀行口座を開設します。

介護タクシーの許可申請書を提出する際に、資金要件を満たしていることを証明するため、申請者名義の銀行口座の残高証明書を添付必要があります。

銀行口座の開設には、会社の履歴事項証明書(登記簿謄本)等が必要ですので、事前に開設予定の銀行窓口へ問い合わせておきましょう。
都市銀行や信用金庫、ネット銀行など様々な銀行がありますので、会社の実情に合わせて開設する銀行を選びましょう。
都市銀行では口座開設に1ヶ月程度かかることがありますので、前もって準備しておくことが大切です。

3.介護タクシーの許可申請を行う

3.介護タクシーの許可申請を行う

介護タクシーの許可申請に必要な書類の準備ができたら、申請書類一式を管轄の運輸支局へ提出します。
介護タクシーの許可を合同会社で申請するには、会社の定款や履歴事項証明書(登記簿謄本)等が必要になります。

会社設立中として法務局へ登記申請をする前に、介護タクシーの許可申請を行うことは可能とされていますが、会社設立前に法人名義の銀行口座を開設することはできません。
したがって、必然的に会社設立後に介護タクシーの許可申請を行う流れになります。

運輸支局へ申請書が受理されてから申請書類に不備のない場合、定められた標準処理期間(2ヶ月程度)に許可が下ります。
※運輸局によっては、申請書が受理された後に法令試験が行われます。

審査は公示基準に基づいて行われますので、基準に適合しない場合は却下の対象になります。


法人を設立して介護タクシーを始めるには?【合同会社編】:まとめ

法人を設立して介護タクシーを始めるには?【合同会社編】:まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回の記事では合同会社を設立し、介護タクシーを始めるための流れを解説してきました。

介護タクシー事業を合同会社で開始するには、以下の手順を踏む必要があります。

まず、合同会社の設立に向けて、社員となる人が会社の基本情報を決めます。
会社名や事業目的、資本金などを定め、定款を作成します。定款は電子定款にすると収入印紙代がかかりません。
定款ができたら、社員が出資金を代表社員の銀行口座に払い込み、払込証明書を作ります。
次に、登記申請に必要な書類を準備し、法務局へ登記申請を行います。
登記が完了したら、履歴事項証明書(登記簿謄本)を取得します。

次に、法人名義の銀行口座を開設します。
介護タクシーの許可申請には、申請者名義の銀行口座の残高証明書が必要です。
銀行口座の開設には、履歴事項証明書などが必要ですので、事前に銀行に問い合わせておきましょう。

最後に、介護タクシーの許可申請を行います。
申請先は、営業所を置く場所を管轄する運輸支局です。
申請書類には、定款や履歴事項証明書などが必要です。
申請書類が受理されたら、審査を受けます。
審査は公示基準に基づいて行われますので、基準に適合しない場合は却下されます。

以上が、合同会社を設立して介護タクシー事業を行う方法のまとめになります。
要点として、下記の点を押さえておきましょう。

  • 介護タクシー事業を法人形態で行う際、合同会社が株式会社に次いで選ばれることが多い。
  • 合同会社設立における手続きは、会社概要を決め、定款を作成し、資本金を払い込み、登記申請書類を作成し、法務局へ登記申請を行う流れを含む。
  • 合同会社の会社概要には、会社名、場所、事業目的、資本金、代表社員、事業年度、公告方法が含まれる。
  • 定款は会社の商号や事業目的、事業年度、社員などの会社概要を記載したものであり、電子定款や紙定款があり、作成時に収入印紙が必要。
  • 資本金は社員が合同会社へ出資する金額であり、全員の出資金の合計が会社の資本金となる。
  • 合同会社設立後、法人名義の銀行口座を開設し、介護タクシーの許可申請に必要な資金要件を満たすための残高証明書を取得する。
  • 介護タクシーの許可申請には、会社の定款や履歴事項証明書が必要であり、申請先は運輸支局となる。
  • 介護タクシーの許可申請は会社設立後に行われるが、法人名義の銀行口座を開設することは設立前にはできない。
  • 許可申請受理後、審査期間(約2ヶ月)を経て許可が下りるが、適合しない場合は却下される可能性がある。
  • 介護タクシーの許可申請先は、営業所を置く地域の運輸支局であり、申請後に法令試験が行われることもある。

以上となります。
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