介護タクシー事業を始めるには、道路運送法に基づき「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業)」の許可が必要になります。
この道路運送法という法律の中には、「一般旅客自動車運送事業の許可をしてはならないもの」として「欠格事由」が規定されており、そもそも許可を取得することができないものが列挙されています。
※欠格事由については、こちらを参照してください。
そして、福祉輸送事業(介護タクシー事業)の許可の申請については、欠格事由とは別に申請者が「法令遵守」の点で問題のないことが確認されます。
法令遵守とは、その名の通り、法律・規律等に従いそれを守ることを意味します。
申請者が下記の法令違反により処分等を受けた者でないかを確認することが必要です。もし法令遵守の点で問題があれば、許可を受けることはできません。
※申請者とは、個人で申請するのであれば申請者本人です。法人(会社)で申請するのであれば、会社の役員全員と役員ではなくとも実質的に役員と同じかそれ以上の職権や支配力を持っている人も含まれます。
1.道路運送法、貨物自動車運送事業法、タクシー業務適正化特別措置法及び特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の違反により、
①申請日前3ヶ月間及び申請日以降に50日車以下の輸送施設の使用停止命令の処分又は使用制限(禁止)の処分を受けた者ではないこと。
②申請日前6ヶ月間及び申請日以降に50日車を超え190日車以下の輸送施設の使用停止命令の処分又は使用制限(禁止)の処分を受けた者ではないこと。
③申請日前1年間及び申請日以降に190日車を超える輸送施設の使用停止命令以上の処分又は使用制限(禁止)の処分を受けた者ではないこと。
2.自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律の違反により申請日前2年間及び申請日以降に営業の停止命令、認定の取消し又は営業の廃止命令の処分を受けた者ではないこと。
3.道路運送法、貨物自動車運送事業法及びタクシー業務適正化特別措置法等の違反により、輸送の安全の確保、公衆の利便を阻害する行為の禁止、公共の福祉を阻害している事実等に関し改善命令等を受けた場合にあっては、申請日前に当該命令された事項が改善されていること。
4.申請日前1年間及び申請日以降に自らの責に帰する重大事故を発生させていないこと。
5.旅客自動車運送事業等報告規則、貨物自動車運送事業報告規則及び自動車事故報告規則に基づく各種報告書の提出を適切に行っていること。
6.申請日前1年間及び申請日以降に特に悪質と認められる道路交通法の違反(酒酔い運転、酒気帯び運転、過労運転、薬物等使用運転、無免許運転、無車検(無保険)運行及び救護義務違反(ひき逃げ)等)がないこと。
7.申請日前1年間及び申請日以降に放置行為、最高速度違反行為又は過労運転により公安委員会からの自動車使用制限命令を受けた者ではないこと。
8.申請者等が、一般旅客自動車運送事業又は特定旅客自動車運送事業の許可の取消しを受けた事業者において当該取消処分を受ける原因となった事項が発生した当時現に運行管理者であった者であって、申請日前5年間に運行管理者資格者証の返納を命じられた者ではないこと。
1、2、3、5、8については、運送事業を営んでいる中で法令に違反するような行為があった場合ですので、過去または現在何らかの運送事業を営んでいなければ該当することはないと思います。
一方、4、6、7は、個人的に該当する可能性があります。これらをざっくり説明すると、下記のようになります。
許可を申請する前1年以内と申請日以降に、
- 自身に原因のある重大な交通事故を起こしていないこと
- 酒酔い運転、酒気帯び運転、無免許運転、ひき逃げ等の重大な交通違反がないこと
- スピード違反や過労運転により自動車使用制限命令を受けていないこと
申請日前の1年以内に交通事故を起こした、飲酒運転をしたというのは、ありえない話ではありません。
「飲酒運転をして免停になった」というのもOUTです。
許可申請時には、上記の規定に抵触していない旨の「宣誓書」の提出が必要になりますので、嘘の申告はできません。
もし、申請者が上記に該当している場合は、介護タクシーの許可を申請したとしても許可はおりません。
どうしても許可を取得したいのであれば、事故等を起こした日から1年以上経ってから申請することが考えられます。