介護タクシー許可に必要な人は?
介護タクシーの許可を得るためには、いくつかの要件をクリアーしなければなりませんが、その中には人員に関する要件があります。
人員とは、介護タクシーの許可を得るために必要な「人」のことです。
では、どのような「人」を確保しなければならないのかを見ていきましょう。
ドライバー(運転者)
介護タクシーの営業所には、1台以上の事業用自動車を配置することが必要です。
車1台あれば事業ができますので、必然的にドライバーも1人は置くことになります。
開業当初は、車1台、ドライバー1人という組み合わせになると思います。
ドライバーは、二種免許が必要ですが、福祉車両を使うなら介護系の資格は必須ではありません。
福祉車両を使用せずに、セダン型の一般車両を使用する場合、乗務員は下記のいずれかの要件を満たさなければなりません。
- ケア輸送サービス従業者研修を終了していること
- 介護福祉士の資格を有していること
- 訪問介護員の資格を有していること
- 居宅介護従業者の資格を有していること
※訪問介護員(旧ヘルパー2級)の資格は廃止されて、現在は「介護職員初任者研修」が該当します。
「乗務員」が上記の資格等を有していればいいので、ドライバーが資格を有をしていない場合には、資格者が同乗することでも構いません。
また、ドライバーは常時選任する必要があるため、日雇い労働者・短期労働者・試用期間中ではない者等の条件があります。
運行管理者
運行管理者は、自動車運送事業における安全輸送の責任者となる人です。
国家資格であり、営業所ごとに一定の人数以上(使用する車が39台までは1人)の運行管理者を選任しなければなりません。
ドライバーが安全に運行できるように乗務割を作成したり、指導監督をしたり、点呼の際にドライバーの健康状態を確認します。
運行の安全を確保するため、アルコールチェッカーを用いてアルコールを摂取していないかの確認をすることも業務の一つです。
ただし、介護タクシー事業所では、使用する車が5台未満(4台まで)であれば、国家資格は必要ありません。
5台以上使用する場合に限って国家資格を有した運行管理者が必要となります。
つまり、車1台で開業するのであれば、国家資格は不要で、誰でも運行管理者になることができます。
整備管理者
整備管理者は、自動車の点検・整備、車庫の管理を行う人です。
国家資格であり、営業所ごとに1人以上の整備管理者を選任しなければなりません。
ただし、介護タクシー事業所では、使用する車が5台未満(4台まで)であれば、国家資格は必要ありません。5台以上使用する場合に限って国家資格を有した整備管理者が必要となります。
運行管理者と同様に車1台で開業するのであれば、国家資格は不要で、誰でも整備管理者になることができます。
役職の兼任について
ここまでで介護タクシー事業を行うには、ドライバー、運行管理者、整備管理者が必要になることが分かりました。
では、一人で開業する場合でもそれぞれ人材を確保しなければならないのでしょうか?
役職を兼任できれば、確保する人も少なくてすみますので、兼任できるかは重要なポイントになります。
ドライバー、運行管理者、整備管理者が兼任できるかは、許可を申請する管轄の運輸局によって異なります。
近畿運輸局管内(大阪・兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山運輸支局)では、ドライバーと運行管理者は兼任不可です。
『ドライバーと整備管理者』または、『運行管理者と整備管理者』は兼任ができますので、下記の組み合わせで人員を確保することになります。
- 近畿運輸局管内→『ドライバー兼整備管理者1人』+『運行管理者1人』=最低2人以上
または、
- 近畿運輸局管内→『ドライバー1人』+『運行管理者兼整備管理者1人』=最低2人以上
関東運輸局管内(東京・神奈川・埼玉・千葉・群馬・茨城・栃木・山梨運輸支局)では、ドライバーと運行管理者・整備管理者は兼任が認められていますので、すべて1人で兼任することができます。
- 関東運輸局管内→『ドライバー兼運行管理者兼整備管理者』=最低1人以上